第二回 午前十時の映画祭「ダーティハリー」その2 |
下劣な刑事アクションと言うことで、本来の名作と言われる代表作ではないが、エンターテイメント作品と全て考えれば、間違えなく名作の1本だろう。
なぜ、この作品が名作なのか、ひげおやじ的に解いていくと、それは、全編を通して、名場面が続くからである。
まず、有名な、銀行強盗を仕留めるシーンだが、銃撃シーンが有り、カーアクションシーンが有るのだが、実はこのシーン、一瞬にして決まっては終わってしまう。
まさに日本人的に言えば必殺一撃である、たった数分シーンなのに、汗握る大変に素晴らしいシーンに仕上がっている。
キャハランが、このシーンで何発売ったとか、その後ビデオやDVDで銃声の音を編集してある事などを気にする人もいるだろうが、私は、このシーンで、キャハランが、何発撃とうが、どうでも良い事。
マカロニウエスタン出身のイーストウッドの現代劇をモチーフにした部分もあると思うね。
次が、チコと組んで夜の町をパトロールするシーン、実は今回のTOHO六本木の大きなスクリーンでいまさらならに、驚いたのは、犯人らしき人物を追いかけるシーンで、車からキャハランが降り、胸のフォルスターから、44マグナムを出すシーンは、はやり大型拳銃だなと初めてその大きなに驚いていまった。
このシーン、意外に平凡なシーンと思いがちだが、このシーンと次の自殺志願者のシーンは大きく繋がっていて、追いかけていたが、犯人ではないと分り、実は夫婦の濡場だったと分ると、チコが「ダーティハリー」の意味を言うが、実は、その意味に納得していないまま、事件発生の知らせを受け、自殺志願者救出の後で、キャハランの口から「ダーティハリー」の意味を体を張って訂正する。
このシーン、実は、当時の有楽シネマで観ていたひげおやじにとって大変に心に残ったシーンであり、実はこのシーンこそ、1だか2だか分らなくなってしまったシーンなのだ。
次の、サソリが、広場にいる黒人を狙うシーンだが、このシーンは、本当に音楽とサソリ扮するアンディ・ロビンソンが、良い雰囲気で、緊張感伝わってくる。
狙いを定めている黒人の姿が消えると、「探しまわる言動や表情」狙いっている黒人を見ると大変に嬉しいそうな表情をする姿など、異常者を好演している。
そして、夜のビルの屋上にサソリを誘いだシーン、このシーンも銃撃戦は、大変に凄い、ネオンを効果的に使いっている。
アンディ・ロビンソン扮するサソリは決して大柄な人ではなく、あまり強そうには見えないのだが、しかし、この銃撃戦で、彼の攻撃性の怖い一面を見る事が出来る。
ネオンが、パン、パンと銃撃により、落ちてくるシーンは、まさにこの映画の中でも、私的に隠れたハイライトシーンとなっている。
そして、いよいよ、金をサソリに渡すシーンになるのだが、勿論、キャハランが色々と走り回るシーンも面白いのだが、サソリと接触するシーンから、観ている物を緊張の中へと引きずりこむね。
デビッドソン公園の十字架のシーン、このシーンは、音楽と、この十字架を使って効果的に、映像を作っているね。
ひげおやじが、サンフランシスコに行ったら、まず迷わずこの公園の十字架の所に行くだろう。
そして、間違えなく「チコ、殺すな」という台詞を吐くだろう(笑い)
アンディ・ロビンソンの役作りも見事だね、キャハランとの電話でのやり取りも大変に台詞を効果的に使っているが、十字架のシーンで、キャハランを痛めつけるシーンは、本当に怖く出来ているね。
当時のテレビ放送が有った後、よくこのシーンと友人と実際にモデルガンなどを用いて再現していたね。
「おや、でかい拳銃だな」なんてね。
次は名シーンではないが、珍シーンなのかな、キャハランが任務に失敗して、ハリー・ガーディノと会話のシーン。
キャハランが「酒はないか」との問いかけに、ハリー・ガーディノのが、酒を出すのだが、キャハランに差し上げるのではなく自分が飲んでこのシーンが終わる事。
このダウトともいえるシーンが、ひげおやじは好きで、ハリー・ガーディノは、この後、パート3にも出てくるのだが、なぜか、疲れた上司の刑事役が似合っている俳優さんだね。
キャハランの上司などをなめたシーンでの曇り顔など、この表情だけでも、アカデミー賞をあげたい気分になる。
そして、キーザー・スタジアムの場面、このシーンも本当に名場面のように出来ている。
サソリの部屋を探し、彼を追い詰める、しかし、すでに踏み込みを予知したサソリは、逃げる。
スタジアム中央に差し掛かり、キャハランが、マグナムを抜き「ストップ」
そして、サソリに向かって1発撃ち込む、するとフランク・ディジョージオが、それに合わせたかのように、スタジアムの照明を次々とつけいく、撃たれ吹っ飛ぶサソリの演技も凄いが、この後、尋問が始まるのだが、「弁護士の要求」などのサソリが叫ぶシーン、キャハランが、傷ついた足を踏みつける、それに応えわめくシーンなど、異常者の悲痛感がよく伝わる。
叫びながら、このシーンが、遠巻きにさっていくシーンが消えて、次に繋がっていくのだが、このシーンも本当に凄いシーンだね。
そして、さらわれた少女が遺体で発見されるのだが、ここでも音楽とシーンで、上手くキャハランの無念さを伝えているね。
このシーンは、はやり前のサソリのスタジアムのシーンがあってこそ、このシーンが生きてくるね。
音楽を担当したラロ・シフリンも最高だね。
実は、彼の担当した「オフサイド7」の音楽が聞きたいと思っているのだが、この音源がなかなか手に入らない。
この後、サソリが、自分の顔に傷を負わせるシーンも大変に生々しいシーンが続く。
いよいよラストシーンに向かっていくのだが、サソリがスクールバスをジャック、子供達に、楽しく歌を唄うように、迫るシーンも、アンディ・ロビンソンの演技が光るね。
そして、飛行場に続く道に差し掛かり、キャハランが、橋の様な所で、サソリを待ち構えてと、ここは日本語吹替版がさえるのだが、キャハランをサソリが見るけるなり、「また、奴だ」この日本語吹替えのシーンは、大変に素晴らしいね。
橋の様な場所なんだが、調べてみると、当時で廃線になっていた、貨物列車用(単線)の架線らしい。
そして、バスに飛び移り、サソリが拳銃で応戦し、カーアクションシーンとなる場面だが、これが、「マンハッタン無宿」のラストのバイクで追うシーンを思い出すような良いシーンに出来上がっている。
「マンハッタン無宿」のような長いシーンでは決してないのだが、短くとも、今までもサソリとの攻防を見ていれば、たった数秒、数分のシーンでも、迫力感が伝わってくるね。
サソリが、逃げて、キャハランが追い、銃撃シーンになるのだが、勿論、こんなシーンは、どの映画でもある単純なシーンのようにみえるのだが、ラストに向けて、手に汗握るシーンに見えるから不思議だ。
ちなみに、今回の上映では、ラストに差し掛かり、映画が終わりを告げている事が大変に残念な気持ちになるね。
もっとこの大きなスクリーンで「ダーティハリー」を堪能したいね。
子供を人質に、追い詰められるサソリ、この時、サソリの追い詰まられた心理状況をアンディ・ロビンソンは、大変に上手く表現しているね。
ここで正直に話せば、アンディ・ロビンソンって俳優さんは、大変に素晴らしい俳優さんであったが、この映画で、自からを犠牲にしてイーストウッドを本当の大スターにしてしまったように感じるね。
そして、名台詞なシーンに繋がる。
結局、この映画って、現代版西部劇をモチーフに出来ているんだろうね。
車が馬で・・みたいに・・・
そして、ラストは、続編が出来る事を勿論想定していないので、当時の演出としては、命令無視を起し、逃げ腰の警察や、間違った法律に、呆れたはてたキャハランが、警察をクビになってもいい、辞めていいと、思って、警察手帳にあるバッチを池に投げ込むんだろうね。
この「ダーティハリー」は、まさしく、数分単位で、名シーンと言われるシーンが続き、観客を魅了できる映画のひとつだからこそ、カッコイイだけではなく、人の心の中に住むんだろうなと思うね。
クリント・イーストウッド
ハリー・ガーディノ
アンディ・ロビンソン
レニ・サントーニ
ジョン・ヴァーノン
監督
ドン・シーゲル
★★★★★
次回に続く